東京全体で行われるデザインとアートの祭典「DESIGNART TOKYO 2022」の一環として、表参道ヒルズの吹抜け大階段にもアート作品が登場しました。「OMOTESANDO REPLICA」と名付けられたこのオブジェの制作を手掛けたのは、松田優と谷雄一郎によるデザインスタジオ「UO」。ここではUOのおふたりに、この作品が持つ意味や制作秘話、鑑賞時の楽しみ方などをうかがいました。
UO(ウオ)
静岡県浜松市を拠点とし、松田優と谷雄一郎により2020年に設立したデザインスタジオ。 多様な企業・組織との製品開発と自主プロジェクトを往来し、互いの活動をフィードバックすることで今後の社会に必要とされる意味や価値の探求と、それらの社会実装に取り組んでいる。
〈活動・賞歴〉
2022年 文房具屋さん大賞/大賞
2022年 ジャーマンデザインアワード
2021年 かけがわ茶エンナーレ2020+1
2021年 レッドドット・デザイン賞
2020年 グッドデザイン賞
2018年 文房具屋さん大賞/大賞
https://uo-design.jp/
ケヤキ並木に落ちていた1本の枝を2000本に複製してオブジェに。その心は?
---- 今回の展示作品「OMOTESANDO REPLICA」は、緻密な構造も魅力的。鑑賞された方はまず「これは何?」と気になりますが、その正体は、道に落ちていた1本の「枝」?
谷 : はい。「OMOTESANDO REPLICA」の"オリジナル"となっているのは、表参道ヒルズの目の前を通るケヤキ並木で拾った1本の枝なんです。これを僕たちの拠点である静岡に持ち帰り、3Dスキャンで型をとってプラスチックに置き換えて、2000本にコピー。先端部分に凹凸をつけて、ブロック玩具のように無限に繋げられる仕様にしました。それを繋ぎ合わせたのが今回のオブジェです。
---- そのアイデアが生まれたプロセスに迫ります。まずは、今回のプロジェクトのスタート時の想いを教えてください。
松田 : 最初にこのお話をいただいたときの正直な感想は「表参道ヒルズというスケールの大きな場所に展示するような作品が、僕らにつくれるか?」というもの。空間的なサイズ感だったり、様々なブランドを目的に訪れるお客さんの層だったり、スケールが大きいなと。だから、そこに耐えるような、いろいろな意味での「強度」がある作品を作らなければということは意識しました。
---- ケヤキ並木の枝を作品に取り入れようと決めたのはなぜ?
松田 : 表参道という街を改めて考えたときに、多くの洗練されたブランドや建築が主義主張をしている一方で、それを調和させているケヤキ並木という存在があることにも気付きました。僕たちは、一見何の変哲もないケヤキの枝も含めて、街を構成する要素をフラットに捉え直してみる必要があるかもしれない。そんな「問い」を投げかけられる作品にできたらという考えに至りました。
谷 : 落ちている1本の枝に注目すると、それは他に同じ形が存在しない、空間と時間が生んだ偶然の産物であるとわかります。この街は、新しい建築物やお店の誕生など「大きな変化」が注目されがちです。しかし、歩道に落ちた枝、その枝を無意識に避けて歩く人。自然と人が影響しあいながら、「小さな変化」の繰り返しの中で、無二の何かと出会える街でもある。見落としがちな唯一性を極大化して鮮明に感じていただくことを目指したのが、今回の作品です。
表参道ヒルズを訪れた前後で、ケヤキ並木の捉え方が変わってほしい
---- 完成した今、改めて展示作品をご覧になって、どのように感じますか?
松田 : 結果的には、表参道ヒルズという場所で、道端の枝がライトアップされることになって、そのあべこべさも面白いなと感じています。
谷 : 僕たちふたりの共通点は、シンプルな手数で大きな効果をもたらすことに価値を感じること。今回の作品も、展示場所からほんの60メートルほど歩いた場所に落ちていた自然物でつくったという意味で、自分たちらしい取り組み方ができたと感じています。
---- 作品を目的に訪れるお客様はもちろん、ショッピングや飲食を目的にご来館し、"偶然"に「OMOTESANDO REPLICA」を目にする方もいらっしゃいます。おすすめの鑑賞方法などがあれば教えてください。
松田 : 吹き抜けの大階段に展示していただけるため、お客さんは螺旋状のスロープを歩いて移動する間、さまざまな距離・角度から作品を楽しんでいただけると思います。遠くから集合体として見たり、近付いて枝の1本1本を見たり。ひとりひとりの表参道ヒルズ内での過ごし方によって、異なる受け取り方ができる作品となっていますので、そんな偶然性も楽しんでもらいたいです。
谷 : 表参道ヒルズに来る方は、誰もがケヤキ並木を通って入館されるはず。この作品を見た前後で、ケヤキ並木の見え方に少しでも変化が生まれていたら、とても嬉しく感じます。
DESIGNART TOKYO 2022 (デザイナートトーキョー 2022)
会期:2022年10月21日(金)~10月30日(日)
エリア:表参道 / 外苑前 / 渋谷 / 原宿 / 六本木 / 広尾 / 銀座
主催:デザイナートトーキョー実行委員会
〈ABOUT DESIGNART TOKYO〉
DESIGNART TOKYO は「INTO THE EMOTIONS ~感動の入口~」をコンセプトにしたデザイン&アートの祭典。東京を舞台に、世界中からインテリア、アート、ファッション、テクノロジー、フードなど、多彩なジャンルをリードする才能が集結し、都内各所で展示を開催します。各展示を回遊しながら街歩きが楽しめるこのイベントは、気に入ったらその場で購入可能な作品が多いのも特徴。街全体をミュージアムにして、かけがえのない出会いや感動をつないでいきます。
2017年の開催から6年目の今年は、テーマに「TOGETHER ~融合する好奇心~」を掲げ、さらにインターナショナルイベントとして、東京から多彩なデザイン・アートを世界へ発信していきます。
HP https://www.facebook.com/designart.jp
Instagram https://www.instagram.com/DESIGNART_TOKYO/
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2025.08.07
OMOTESANDO CULTURE WEEKEND
毎週末、さまざまなカルチャーイベントを開催! ファッション、アート、デザイン、食、音楽などについて、国内外のアーティストやショップ、メディアが一堂に集まり、来場者に向けて発信するイベントを週末ごとに開催します。 Art Culture Street. -SUMMER JAM- 4人組バンド・CHAIの元メンバーで、現在は画家、ファッションディレクター、作詞家などでマルチに活躍するクリエイターYUUKIが主催するアートと様々なカルチャーが融合したイベントを開催します。 開催日:8月16日(土)~8月17日(日) 時間:11:00~20:00 ※最終日のみ18時まで 主催:株式会社EmpaC インスタグラム:@artculturestreet ■YUUKI プロフィール4人組バンド・CHAIの元メンバー。CHAIではベース演奏に加え、作詞やアートワークなどを担当。2024年3月のバンド解散後には、アパレルブランド「YMYM」にてアパレルやライフスタイルグッズを手掛けるほか、アートイベント「Art Culture Street.」の主催や、作家としての創作活動など、これまで以上にマルチなクリエイターとして精力的に活動中。 POST EDIT ファッションという軸を持ちながら、編集的視点からライフスタイルやカルチャーを再構築する2日間限定のポップアップイベントです。ファッション、フード、アート、音楽、出版など、多様なジャンルから選ばれたブランドが出店します。空間全体を「時代が求める編集 = POST EDIT」というテーマで構成し、来場者に新たな価値との出会いや発見を提供します。会場内は各ブランドの世界観を体験いただける設計となっており、販売や、展示にとどまらず、出店者・来場者同士の交流の場としても機能し、クリエイターが共に創り上げる体験型の文化発信拠点を目指したイベントを開催します。 開催日:8月23日(土)~8月24日(日) 時間:11:00~21:00 ※最終日のみ18時まで 主催:COLORS.inc 関連ページ:https://www.instagram.com/post____edit/ ※8月24日(日)は「原宿表参道元氣祭スーパーよさこい2025」開催に伴う交通規制のため、11:00~16:30の間、表参道ヒルズの駐車場はご利用いただけません。詳しくは、こちら OMOTESANDO WART FAIR ファッションや音楽カルチャーの感性を宿すナチュラルワインのセレクターが地下空間に集い、それぞれの信念で選んだワインを提案する初開催のイベント。ワインの存在を「文化を育てる業置」と位置付け、音楽、時間、空間、表現、そして共有することの歓びなど、様々な要素が結びつくような体験を提供します。 開催日:8月28日(木)~8月30日(土) 時間:8月28日(木)・29日(金)16:00~21:00、8月30日(土)12:00~21:00 主催:ログズ株式会社 関連ページ:https://www.instagram.com/wart_tokyo/ ※内容は予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。※各イベントでのお買上げについては、駐車券サービスおよびヒルズポイント付与の対象外となります。
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