今年のクリスマスシーズンは、表参道ヒルズの象徴である吹抜け空間に"浮遊する光のクリスマスツリー"が登場中。約1万4000個のバルーンの集積からなる、高さ約9メートルの宙に浮かぶツリーが、来館される方々をお迎えします。手掛けたのは、バルーンアーティストの細貝⾥枝さんと、アートディレクター・グラフィックデザイナーの河田孝志さんからなるアーティストユニット「DAISY BALLOON」。おふたりに、作品に込めた想いをうかがいました。

ひとつひとつ異なるバルーンは「生命」

---- バルーンを活用したアート作品で世界中から注目を集めるおふたり。今回は約1万4000個の、ひとつとして同じものが存在しないバルーンを手作業でつくりあげ、装飾していただきました。
細貝 : 本作のコンセプトは「Birth」。ひとつひとつの光るバルーンを「生命」とし、無数の異なるエネルギーが空中を漂いながら、混じり合い、大きなうねりに昇華されていく様子を表現しています。私は日頃から、生命を吹き込む感覚で、バルーンに空気を送り込んでいて。吹き込んだ瞬間から少しずつ空気が抜け、いずれ萎む、その儚さも含め、美しい魅力だと感じています。

---- 「Birth」というコンセプトを設けた理由は?
河田 : 表参道は、戦争による空襲被害の歴史や、そこで残った欅などの存在があり、過去と未来について考える場所だと捉えています。欅並木のシンボルである表参道ヒルズも、建築家・安藤忠雄さんによる街との調和を重視した設計コンセプトを含め、過去と未来の狭間を体験するような施設。この場所で、世の中がコロナによる苦しい状況から少しずつ回復してきている今年のクリスマスというタイミングで、生まれてきた命が過去から未来に繋がっていく「喜び」「希望」「祈り」を表現したいと思いました。

---- バルーンの素材として採用しているのは「積層偏光フィルム」。おふたりがジャパン・ハウス サンパウロ(外務省が世界3都市に設置する文化発信施設のひとつ)で発表し、世界的な評価を得たインスタレーション「バランス展」でも取り入れられた素材です。
河田 : 光の屈折による多重反射を経て、オーロラのような輝き方をする特殊なフィルムです。サンパウロで発表した際は、バルーンに光を当て反射により現れた光にフォーカスしましたが、今回はバルーンの"内部から出てくる光"にフォーカスした作品となっています。呼吸するように光を集め拡散するバルーンを通して、表参道ヒルズの中を循環するエネルギーをみなで共有する体験をつくれたらと考えています。
イルミネーションで輝く欅並木とあわせて鑑賞を


---- 作品にあわせて制作された音楽も、バルーンと相まって館内の素敵なムードをつくっています。手掛けたのは作曲家/ピアニスト・平井真美子さん(※)。
河田 : 完成した音楽をアトリエで聴いたとき、静止している作品を立ち上がらせてくれたような感覚になりました。自分たちが想像している世界から、もっと広く、高い場所へと、作品を浮遊させてくれました。今回初めてご一緒したのですが、私たちは平井真美子さんの一ファンで、いつかご一緒したいと想い続け、今回ご依頼することができました。
※クリスマスイルミネーションでは、20分ごとに音と光の特別演出を実施。作曲家・ピアニストの平井真美子さんが今回のために約2.5分間の曲を書き下ろしました。
用いられた楽曲は、2022年12月31日よりミニアルバム「元いた場所に還る旅」として配信中。
https://linkco.re/0sXb6eDS

---- 館内を歩きながら、お客さまは常にバルーンと音楽を感じることができます。特におすすめの鑑賞方法はありますか?
細貝 : 多くの方から「ずっと観ていられる」という声をいただけていることがとても嬉しくて。ひとつひとつのバルーンの形づくりにこだわったことと、表参道ヒルズの独特なスロープ構造のおかげだと感じています。ぜひ、いろいろな角度、距離から、その瞬間にしか観ることのできないバルーンの光を観ていただきたいです。

---- 表参道ヒルズの外では、欅並木もイルミネーション装飾で輝いています。クリスマスシーズンの表参道を訪れる方々に、メッセージをお願いします。
河田 : "有機的なものと無機的なものの関係性"を創作の重要なテーマにする私たちDAISY BALLOONにとって、欅並木の存在は今回の作品コンセプトに大きく組み込まれています。その欅並木がつくる街の景色と、私たちが手掛けたバルーンツリー。その両方を鑑賞し、みなさまの心の中で繋げて捉えながら、未来への希望、そして生命の美しさを感じていただけたら嬉しいです。

DAISY BALLOON(デイジーバルーン)
バルーンアーティスト細貝⾥枝とアートディレクター・グラフィックデザイナーの河田孝志からなるアーティストユニット。 2008 年結成以来、「感覚と質」をテーマに掲げ、バルーンで構成された数々の作品を制作。それらは繊細さが細部まで行き渡った建築物を思わせ、多くの⼈々を魅了している。
http://www.daisyballoon.com/
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2025.10.27HILLS ポイントキャンペーン
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2025.10.22CHRISTMAS HILLS 2025
5つのヒルズが連動して展開される「CHRISTMAS HILLS 2025」の特設WEBサイトはこちら。
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2025.10.28OMOTESANDO HILLS CHRISTMAS TREE 2025
プリズムが輝き、光のリングが軽やかに踊るクリスマスツリーが登場 今年のクリスマスツリーのデザインは、光とテクノロジーによる独創的なインスタレーションや空間アートで国内外で高く評価を得ている光のアーティスト、松尾高弘氏が率いるアートスタジオ「EMISSION(エミッション)」が手掛けます。 テキスト --> 約1,000個のプリズムエレメントが空間を彩る 今回のツリーは、EMISSIONとして初のクリスマスツリー制作となり、得意とするプリズムアート作品の中で最大級のスケールとなる高さ約10メートルの作品となります。独自に開発した光学ポリカーボネート素材「Prism Ray®」を用いて構成され、約1,000個のプリズムエレメントによる多面体と光が、屈折と反射によって空間全体をプリズム光で彩ります。 Prism Ray®(イメージ) 大阪・関西万博でも話題の演出システムを導入 ツリーを囲むように設置されたリングには、松尾氏が独自に開発した空間アート装置「Kinetic Light Vision(K.L.V)」を導入。48個の球が光のリングを描くように音楽とシンクロして動き、プリズムツリーと一体となって新しい光の体験を生み出します。このK.L.Vは2025年大阪・関西万博の関西パビリオン・滋賀県ブースで初公開され、「日本空間デザイン賞2025」エンターテインメント空間部門の金賞を受賞するなど大きな注目を集めたもので、限られた来場者しか体験できなかった演出を表参道ヒルズでお楽しみいただけます。 --> 20分に一回の光と音の特別演出 --> ツリー本体は通常時、白一色のライティングで光の結晶のように洗練されたラグジュアリーな輝きを放ちます。20分に1回の特別演出では、カラフルなライティングに変化し、「光のリング」と音楽がシンクロして踊り出すようなアーティスティックな演出を実施します。音楽はサウンドデザイナー・黑瀧節也氏による制作で、先鋭的でありながらも幸福感や温かさを届ける演出が、訪れる人々に心躍るひとときをお届けします。 ■開催時間:20分ごとに音と光の特別演出(約2分間)を実施。※各日とも初回の演出は11:20~、最終回は22:20~※初日11月11日(火)は16:00より点灯予定 ●デザイナープロフィールTakahiro Matsuo 松尾 高弘 アーティスト・株式会社ルーセントデザイン代表・EMISSIONディレクター。1979年生まれ、福岡県出身。九州芸術工科大学大学院修了。自然界の現象や法則からインスピレーションを受ける繊細な光の表現と、イマジネーションによるエモーショナルな作品群によって、都市や商空間のパブリックアート、世界各国のエキシビション、ラグジュアリーブランドとのコラボレーションなど、国際的に活動している。2020年より、"Light Crystallized = 光の結晶化" をコンセプトとするブランド+アートスタジオ「EMISSION」を立ち上げ、プリズムアートによるインスタレーションやアートプロダクトのディレクションを行う。https://www.lucent-design.co.jp ●サウンドデザイナープロフィールSetsuya Kurotaki 黑瀧 節也 アーティスト・サウンドデザイナー。国内外ファッションショーのサウンドプロデュースや商業施設のサウンドブランディング、映像作品・公共空間・モビリティのサウンドデザインなど「音」を軸とした創造を幅広く社会実装し続けている。ミュージシャンとしても数多くのLIVEやレコーディングに参加、客演する他、さまざまな名義を使い分け、世界各地でパフォーマンスを行っている。

