表参道ヒルズとの縁(因縁?)は深い。12年前のオープニングレセプションのあの日、あの時、あの場所で、待っていた友人に大手を振りながら駆け寄って行くと、そこで惨劇は起こった。「バシャッ!」東京砂漠では聞き慣れない音......。足元を見るとそこには清らかな水の流れが。もちろん浅いので靴のソールが少し濡れただけだが、受付に並ぶ大勢の眼前であの表参道の"せせらぎ"におっこちた第1号の称号を得ることに。
そんな"せせらぎ"沿いはあの頃と様子を変え、最近はファッショニスタの御用達ブランドが軒を連ねる。その一つ「MM6 Maison Margiela」(以下「MM6」)は、「Maison Margiela」 が発信するコンテンポラリーとユースカルチャーをコンセプトにしたブランド。実は昨今の"90年代リバイバル"で、コンセプチャルファッションが再加熱。「MM6」は今のストリートのバイブスを上手く融合することで、新しい世代をも取り込んでいる。ロンドン・ファッション・ウィークで行われているプレゼンテーションも趣向を凝らしていて、18年春夏ではリテールの空き物件にスタジオを再現(※写真1)。実際のスタイリストやフォトグラファーが参加し、撮影風景を眺めるといったものだった。そう、そこにはソーシャルメディア投稿にぴったりのセッティングが用意されていた。 最近はどこのファッションイベントもインスタグラム投稿を意識したものが非常に多い。


※写真1.「MM6」の2018年春夏ロンドンプレゼンテーションの様子。
インスタグラムと言えば、昨年メディアがバカの一つ覚えのように「インスタ映え、インスタ映え」と唱えていたが、日本はまだまだ甘い!仕事とプライベートでよく行く東南アジア、特にタイは"インスタ映え"先進国だ。ショッピングモールや飲食店から公共施設、はたまたお寺に至るまで写真映りを考慮し、撮影スポットが用意されているところも。老若男女がどこもかしこもカメラ小僧のように撮影大会を繰り広げているのが印象深い。アジアきってのグルメ大国であるタイでは、カフェやレストランがSNSアディクトの巣窟だ。先日、行列の耐えないドリアン専門のデザート店に行くことがあった。一番人気のかき氷は漫画に描かれたかのようにデフォルメされたもの(※写真2)。お味はというと、ドリアン天国か?地獄か?口の中で臭旨いランバダが繰り広げられる。氷自体がドリアンフレーバーなら、のせられたホイップ状のクリームも添えられたピューレもドリアン、さらには生のドリアンが氷下に潜んでいる。見た目だけでなく、一口食べるごとにインスタコンテンツが登場する芸の細かさ。SNSのトレンドは非常に早い。最近はムービー制作アプリが強化されているので、動画を意識したメニューが増えている。


※写真2. 人気ドリアン専門店「After you Durian」の名物、ドリアンかき氷。
プロフィール